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診療圏の『人口』は昼と夜で別物|オフィス街を夜間人口で読むと需要を取り違える

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診療圏調査の結果に出てくる「人口◯万人」。この数字を、多くの人は「そこに住んでいる人の数」と受け取ります。たいていの調査は確かに居住者数を使っていますが、そのまま鵜呑みにすると立地によっては大きく読み違えます。結論から言うと、クリニックに来るのは『そこに住む人』ではなく『診療時間にそこにいる人』であり、どちらの人口で見るべきかは立地の性格で切り替わります。この記事では、昼と夜で人口が別物になる仕組みと、その使い分けを整理します。

診療圏の「人口」は、既定では夜間人口

まず用語を整理します。診療圏調査で使われる人口は、一般に国勢調査による居住者数、すなわち夜間人口です。これに対し昼間人口は、常在人口に他地域からの流入を足し、他地域への流出を引いたものを指します。

この2つの関係を表すのが昼夜間人口比率で、100を超えると『昼間にいる人のほうが多い』流入超過エリア——典型が丸の内や梅田のようなオフィス街です。逆に住宅地は、昼間は多くの人が勤務・通学で外に出るため、夜間人口が実態に近くなります。つまり同じ「人口」でも、昼と夜では別の数字なのです。

オフィス街・駅前は、夜間人口だけだと需要を取り違える

このズレは都市部ほど大きくなります。昼夜間の差は都心に行くほど開き、東京都全体では200万人以上の違いが出るとされ、純オフィス都心(丸の内・大手町級)では夜間人口に3.0〜5.0の係数を乗じて昼間人口を推計するほどです。

立地タイプ昼夜間人口比率主に見るべき人口想定される患者層
オフィス街・駅前100超(流入超過)昼間人口勤務・通学者
住宅地おおむね100前後〜未満夜間人口(居住者)居住者(家族・高齢者など)

就業者の多くは日中、勤務先へ移動しています。だから居住人口の少ないオフィス街を夜間人口だけで調べると、実際には昼間に大量の人がいるのに、需要が過小に見えてしまうのです。逆に、昼間人口を使うべき場所で使わなければ、開業判断そのものを誤ります。

昼と夜の別は、「患者層」の別でもある

もう一つ重要なのは、昼夜の違いが単なる頭数ではなく患者層の違いにつながることです。昼間人口が夜間人口を上回る立地では、周辺に勤務する社会人の患者が中心になると予想できます。こうした構成の違いは、精神科・内科・皮膚科など、どの診療科がその立地に合うかの検討材料になるとされます。

つまり昼間人口・夜間人口の使い分けは、「何人来るか」だけでなく「どんな人が来るか」まで左右します。診療時間の設定や標榜科の検討にも、この視点が効いてきます。

同じ地点でも、「どの人口で見るか」で答えが変わる

こう整理すると、診療圏を読む順番が見えてきます。まず候補地がオフィス街寄りか住宅地寄りかという性格を見極め、それに合った人口を選ぶ。同じ地点でも、夜間人口で見るか昼間人口で見るかによって、需要は過小にも過大にも映るからです。実務では両方を確認し、その立地の生活・就業の実態に近いほうを軸に据えるのが安全です。人口という入口を取り違えると、その先の推計患者数はすべてずれてしまいます。

まとめ

診療圏の「人口」は一種類ではありません。既定で使われる夜間人口は居住者の数であり、オフィス街や駅前では、昼間人口を見なければ実態を捉えられません。しかも昼夜の別は患者層の別でもあり、頭数と患者構成の両方に効きます。だから立地の性格に合わせて、見る人口を切り替える必要があります。昼間人口・夜間人口・昼夜間人口比率は、いずれも国勢調査をもとにした公的データで無料で確認でき、立地の性格に合った需要の読み方をするための土台になります。

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本記事は開業検討の参考情報であり、開業の成否を保証するものではありません。出典・参照資料:診療圏調査・昼夜間人口に関する解説メディア各種/昼夜間人口・比率は国勢調査に基づく(係数・差は都市で変動)。