開業コラム
医療機器は購入かリースか|『初期費用の安さ』ではなく『何年使うか』で振り分ける
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開業の設備をそろえるとき、医療機器を買うかリースにするかは避けて通れない判断です。リースは初期費用が軽く手続きも楽なため、そちらに流れがちです。しかし初期費用の軽さだけで選ぶと、総額で損をすることがあります。結論から言うと、購入かリースかは初期費用の安さではなく『その機器を何年使うか』——耐用年数と陳腐化の速さ——で振り分けるべきです。この記事では、両者の性質・リースの総額の正体・そして振り分けの基準を整理します。
リースと購入、それぞれの性質
まず両者の違いを並べます。
| 観点 | リース | 購入(自己資金・借入) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 抑えられる | まとまった資金または借入が必要 |
| 総額 | 料率ぶん高くなりやすい | 相対的に安いことが多い |
| 手続き | 審査・担保が不要で簡素 | 借入なら審査・担保が必要 |
| 会計 | 月々の経費で処理が簡単 | 減価償却など複雑。税制優遇もある |
| 途中変更 | 中途解約は原則不可(残リース料相当の損害金) | 売却・買替は自由だが廃棄コスト |
リースは初期投資を抑え、審査や担保が不要で、リース料を月々の経費にできる手軽さがあります。一方、購入は取得価額500万円以上の高額機器への税制上の優遇があるなど、総額では有利に働くことが多いとされます。
リースの「初期の軽さ」は、料率ぶん総額に乗っている
ここで重要なのが、リースの安さの正体です。リース料は機器の金額にリース料率を掛けて算出されます。たとえば総額3,000万円の機器を5年・料率1.8%でリースすると、月々は「3,000万円 × 1.8% = 54万円」、支払総額は「54万円 × 12か月 × 5年 = 3,240万円」になります。料率の目安は5年で1.8%、6年で1.6%、7年で1.4%程度とされます。
つまりリースの初期の軽さは、料率ぶんを上乗せして月々に繰り延べているだけで、総額は購入(とくに低金利の借入で買う場合)より高くなりやすいのです。しかも銀行融資より短期で支払う仕組みのため、月々の負担はむしろ重くなります。中途解約も原則できず、やめるには残リース料相当の損害金がかかります。
だから決め手は「何年使うか」——耐用と陳腐化
では何を基準に選ぶのか。鍵は、その機器を何年使い続けるかです。耐用年数が長く、長期間使う機器は、一括購入したほうが総額で安く済むことがほとんどです。逆に、レセコンや電子カルテのように頻繁に更新され早期に陳腐化する情報機器は、5年程度で買い替えることも多く、リースが向いています。買っても数年で入れ替えるなら、所有し続ける利点が薄いからです。長く付き合う機器は購入、移り変わりの速い機器はリース——この振り分けが基本になります。
全部を一方に寄せない——機器ごとに配分する
そして実務では、すべてを購入かリースの一方に寄せる必要はありません。むしろ機器ごとに配分するほうが資金繰りは安定します。たとえば2,400万円分の機器のうち、1,400万円は10年など長期の低金利融資で購入し、残り1,000万円をリースにすれば、全額リースにするより月々の支払いを抑えつつ、初期の一括負担も避けられます。長く使う中核機器は購入、更新の速い機器はリース、と役割で分けるのが現実的な最適解です。
まとめ
医療機器の調達は、初期費用の安さで選ぶものではありません。リースの軽さは料率ぶん総額に乗っており、中途解約もできない片道です。だから決め手は「何年使うか」——長く使う機器は購入、早く陳腐化する機器はリース、そして機器ごとに配分して資金繰りを平準化する。なお、リース料や返済に毎月耐えられるかは、立ち上がりの売上、つまり患者数次第です。月々の固定負担に耐えられるかを決める需要は、公的データで無料で見通せ、月々の固定負担をどこまで背負えるかを見極める土台になります。
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