開業コラム
クリニックの内装・設計費用|坪単価は『デザイン』ではなく『医療機能』で決まる
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開業の見積もりを取り始めると、内装費の大きさに驚く医師は少なくありません。そこで多くの人が「坪単価をもっと安くできないか」と考えます。しかし坪単価を値切る対象として捉えると、費用構造の本質を外します。結論から言うと、内装の坪単価は内装のデザインの豪華さではなく、そのクリニックが備える医療機能で決まります。この記事では、坪単価の相場・それを動かしている正体・そして費用を抑える正しい順番を整理します。
坪単価の相場と、幅が大きい理由
まず目安を並べます。
| 区分 | 坪単価の目安(出典により幅あり) | 背景 |
|---|---|---|
| 居抜き物件 | 30〜50万円程度 | 既存の内装・設備を流用できる |
| スケルトン物件 | 50〜100万円程度 | 一から造作する。設備工事の規模で上下 |
| 一般的なクリニック | 50〜70万円程度(100万円超の例も) | 診療科と設備次第 |
これに加えて、設計・デザイン費が内装工事費の10〜15%程度、別途かかるのが一般的とされます。注目したいのは、居抜きとスケルトンで坪単価が倍近く違うことです。**この差の正体は「デザインの差」ではなく「設備を引き継げるかどうか」**です。ここに費用構造の核心があります。
坪単価を動かしているのは装飾ではなく設備
では坪単価は何で決まるのか。診療科によって配管やX線室などの設備工事の規模が変わり、ここが坪単価を大きく左右するとされます。つまり内装費の中心は、壁紙や照明といった装飾ではなく、給排水の配管、X線室の遮蔽、手洗い設備といった医療機能です。手洗いは保健所の指導で診察室や処置室の近くに求められることが多く、削れる自由度は限られます。
だから「内装のグレードを落として節約」と考えても、装飾は費用全体の一部にすぎず、思ったほど下がりません。費用を本当に動かすレバーは、装飾ではなく『どんな設備を備えるか』=診療内容そのものです。
動線と諸室は「削るコスト」ではなく「機能の器」
設計でもう一つ効くのが動線です。院内は待合などのパブリックゾーン、診察室・処置室のセミパブリックゾーン、院長室・スタッフ休憩室のプライベートゾーンに分け、「受付→待合→診察→会計」がスムーズに流れる配置が基本とされます。近年は発熱患者用の待機スペースや専用動線を組み込む例も増えており、清潔区域と不潔区域を分ける考え方が土台になります。
これらは装飾のように「削ってコストを浮かせる」対象ではなく、診療を成り立たせる器です。動線を無理に切り詰めると、開業後の業務効率や感染対策にしわ寄せがきます。
だから安く上げる順番は「機能→坪数→坪単価」
以上を踏まえると、費用を抑える順番が見えてきます。坪単価を最初に値切るのではなく、①自分の診療に本当に必要な諸室と設備を絞り、②そこから必要な坪数を決め(診察室は9.9平方メートル・約6畳以上などの目安があります)、③その規模に見合った坪単価で見積もる——この順です。居抜きが安いのは設備を引き継げるからですが、引き継いだ設備が自分の診療に合わなければ結局作り直しになり、安さは帳消しになります。安さは物件で決まるのではなく、機能を絞れているかで決まります。
まとめ
内装費は坪単価というデザインの価格で決まるのではなく、配管・X線室・動線・清潔不潔の分離といった医療機能で決まります。だから節約の第一手は坪単価の値切りではなく、必要な諸室と設備を絞ること。そして必要な設備と規模は、見込む患者数と診療内容から逆算されます。工期はおおむね開業希望日の6か月前が目安とされ、その前段の需要見込みが規模を決める前提です。適正な規模の前提になる需要は、公的データを使えば1円もかけずに把握でき、過大でも過小でもない適正な規模を考える土台になります。
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