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開業コラム

クリニックの診療単価はいくらか|『単価より患者数』で売上が決まる理由

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クリニックの売上は、突き詰めれば「診療単価 × 患者数」です。開業計画を立てるとき、多くの医師がまず単価を調べます。ところが、結論から言うと、診療単価は自分ではほとんど動かせません。保険診療の点数は全国一律で決まっているからです。売上計画で本当に設計できるのは、単価ではなく患者数の側——つまり、どれだけの人が来てくれるかです。この順序を取り違えると、単価の高い科を選べば儲かる、という誤解に陥ります。

「診療単価」と「レセプト単価」は違う

まず言葉の整理から。診療単価は「患者が1回の受診で支払う費用」、レセプト単価は「1人の患者が1ヶ月に支払う費用」です。両者の差は、その患者が月に何回来るか(再来頻度)です。

厚生労働省「社会医療診療行為別統計(令和6年)」では、外来(入院外・医科)のレセプト1件あたりは約1,478点、金額にして約14,785円/月とされます。ここには初診・再診に加え、検査や処置、投薬が含まれます。売上を見積もるときは、この「1ヶ月あたり」なのか「1回あたり」なのかを混同しないことが第一歩です。

単価は保険点数でほぼ決まる

診療単価が動かしにくいのは、基本診療料が全国一律だからです。おおまかな目安として、初診料は約291点(2,910円)、再診料は約75点(750円)で、これは北海道でも沖縄でも同じです。ここに検査・処置・投薬が積み上がって1回の単価になりますが、その積み上げ方も保険点数の枠内です。

つまり、院長が価格を決められる余地は保険診療にはほとんどありません。自由診療を組み合わせれば単価は上げられますが、それは別の設計(自費メニュー)の話であり、保険診療の単価そのものを交渉で動かすことはできません。

「単価が高い科=儲かる」ではない

ここが最大の誤解ポイントです。売上は単価だけでなく、患者数と再来頻度の掛け算で決まります。診療科ごとに、この3要素のバランスがまったく違います。

要素内容科による違いの例
診療単価1回あたりの点数検査の多い科は高く、処置中心の科は低め
患者数1日に診る人数皮膚科・眼科は回転が速く多くを診る
再来頻度月に何回来るか慢性疾患中心の科は再診が積み上がる

たとえば1日あたりの外来患者数は、診療所平均で約40人、内科で約31人、皮膚科で約15人といった水準です。単価が低めでも患者数と回転で売上を作る科もあれば、単価は高いが患者数が限られる科もあります。単価だけを見て科の収益性を判断すると、必ず読み違えます

では売上をどう設計するか

単価は所与(保険点数)、再来頻度は疾患構造でおおむね決まる——とすれば、開業計画で唯一まとまった幅を持って設計できるのは患者数です。そして患者数を決めるのは、立地の需要と競合の多寡です。

同じ単価・同じ科でも、需要の厚い立地なら1日40人、薄い立地なら20人という差が、そのまま売上の差になります。単価表を眺める時間があるなら、開業予定地に何人の患者需要があるかを確かめる方が、売上計画にはるかに直結します。立ち上がり時の患者数の目安は診療科別の立ち上がりスピードで扱っています。

月商をどう試算するか

売上計画に落とすときは、次の式が土台になります。

月商 ≈ 1日の患者数 × 月間診療日数 × 1回あたりの診療単価

1回あたりの診療単価は、先ほどのレセプト単価(月あたり約14,785円)を、その患者が月に何回通うかで割り戻したおおよその値です。仮に1回あたり約8,000円とし、1日40人・月20日で診れば、月商はおよそ640万円という試算になります。ここで動かせる変数は、繰り返しになりますが単価ではなく「1日の患者数」です。単価8,000円は保険点数で決まっていますが、40人が20人になれば月商は半分になります。だからこそ、売上の当たりを付ける作業は、単価表ではなく需要の確認から始めるべきなのです(上記はあくまで前提を置いたモデル試算で、科・患者層により変わります)。

まとめ

診療単価は保険点数で全国一律に決まり、院長が動かせる部分はごくわずかです。売上を「単価 × 患者数」で捉えたとき、設計できるのは患者数の側であり、それを決めるのは立地の需要です。単価の高い科を探すより、自分の予定地にどれだけの需要があるかを確かめること——それが売上計画の出発点になります。開業予定地の需要と競合は、公的データで無料で確認できます。費用計画の全体像は開業医の手取りはどう決まるかもあわせてご覧ください。

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本記事は開業検討の参考情報であり、開業の成否を保証するものではありません。出典・参照資料:厚生労働省『社会医療診療行為別統計(令和6年)』の入院外(医科)1レセプトあたり点数(約1,478点=約14,785円/月)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/sinryo/tyosa24/、2026-07-24取得)を主たる公的統計として使用。初診料約291点・再診料約75点は診療報酬点数表(2024年改定)に基づく目安。1日あたり外来患者数(診療所平均約40人・内科約31人・皮膚科約15人等)は各種経営統計・解説の公開情報(2026-07-24取得)。本文中の月商640万円等は前提を置いたモデル試算であり、特定の医院の売上を保証するものではない。当社収支シミュレーターの診療単価前提と同種の数値を扱う。制度・点数は改定で変更され得る。