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開業コラム

開業融資は毎月いくら返すのか|金利より『借入期間と据置』が資金繰りを決める

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開業融資を検討する医師の多くが、まず金利を気にします。少しでも低い金利で借りたい——その気持ちは自然ですが、結論から言うと、開業直後の資金繰りを決めるのは金利ではありません。毎月いくら返すかを決めるのは、借入期間と据置期間です。金利が1〜2%動いても月々の返済額はさほど変わらない一方、借入期間の取り方で月額は倍近く変わります。ここを取り違えると、「低金利で借りられたのに資金繰りが苦しい」という事態になります。

まず金利の話:影響は思ったより小さい

日本政策金融公庫の新規開業向け無担保融資の基準利率は時期によって変動し、2026年時点ではおおむね年3%台〜5%程度です。借入5,000万円・10年返済(元利均等)で金利だけを動かすと、月々の返済額は次のようになります。

金利月々の返済額総利息
3.0%約48万円約794万円
4.0%約51万円約1,075万円
5.0%約53万円約1,364万円

金利が2%も違えば総利息は約570万円変わりますが、月々で見れば差は約5万円です。もちろん低い方がよいのは確かですが、金利交渉に神経を使うほど、月次の資金繰りに効くわけではない、という感覚を持っておくのが大切です。

月額を決めるのは借入期間

同じ5,000万円・金利4%でも、借入期間を変えると月々は大きく動きます。

借入期間月々の返済額総利息
7年約68万円約741万円
10年約51万円約1,075万円
15年約37万円約1,657万円

7年と15年では月々の返済額が約31万円も違います。期間を延ばせば月々は楽になりますが、総利息は増えます。開業直後のキャッシュフローを守るなら期間は長め、支払総額を抑えたいなら短め——このトレードオフを、金利の0.1%より先に考えるべきです。

据置期間が資金繰りの本丸

もう一つ効くのが据置期間です。据置期間中は元本を返さず利息だけを払うため、負担が大きく下がります。先ほどの5,000万円・4%なら、通常返済の月約51万円に対し、据置中は利息のみで月約17万円です。

これが効くのは、開業直後の入金構造と関係します。保険診療の入金は、診療した月のおよそ2ヶ月後です。つまり開業初月は、売上は立っても現金がほとんど入らないのに、家賃・人件費・返済は毎月出ていきます。据置期間で元本返済を黒字化後にずらせれば、この谷を越えやすくなります。入金の遅れとキャッシュの谷については開業後のキャッシュフロー管理で詳しく整理しています。

借入額の上限と、借りすぎないこと

公庫の新規開業向け融資には上限があり、無担保での目安は7,200万円程度(うち運転資金分に別枠の目安)とされます。ただし、借りられる額と借りるべき額は別です。借入5,000万円・4%・10年なら月々約51万円、7,000万円なら月々約71万円——借入額がそのまま毎月の固定費になります。自己資金と借入のバランスは開業融資と自己資金の考え方で扱っています。

返済計画の組み立て方

ここまでを一つの計画にまとめると、順番はこうなります。まず借入額を「借りられる額」ではなく「必要な額+数ヶ月分の運転資金」で決める。次に、開業直後のキャッシュフローが薄いあいだは据置期間を使って元本返済を後ろにずらす。そのうえで、月々の返済が黒字化後の想定利益に収まるよう借入期間を選ぶ——という流れです。

たとえば5,000万円を金利4%・15年・据置6ヶ月で組むと、最初の半年は利息のみで月約17万円、その後は月約37万円で返していく形になります。同じ借入額でも、7年・据置なしにすれば月約68万円。前者は総利息が増える代わりに開業初期の谷を越えやすく、後者は総支払を抑える代わりに立ち上がり中の負担が重くなります。どちらが正解かは、想定する黒字化までの月数次第です。

まとめ

開業融資で最初に詰めるべきは、金利の高低ではありません。月々の返済額を決めるのは借入期間であり、開業直後の谷を越えられるかを決めるのは据置期間です。金利2%分の月額差が約5万円なのに対し、借入期間7年と15年の差は約31万円——どこに神経を使うべきかは、この比較が教えてくれます。

そして、どんな返済計画も、最後は「その返済を賄えるだけの患者が来るか」に行き着きます。返済耐性は、金利や期間の設計である以上に、立地の需要そのものです。その需要と競合を公的データで確かめておくことが、返済計画を組む前の最初の一歩になります。費用は一切かかりません。

お探しの市区町村の人口動態・競合クリニック密度はエリア別の開業データから確認できます。

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本記事は開業検討の参考情報であり、開業の成否を保証するものではありません。出典・参照資料:日本政策金融公庫の新規開業向け無担保融資の金利レンジ(2026年時点でおおむね年3%台〜5%程度)および上限の目安(無担保7,200万円程度)は、日本政策金融公庫の公表情報および税理士等による解説記事の公開情報(https://www.jfc.go.jp/、2026-07-24取得)に基づく。金利は時期により変動する。本文中の月々の返済額・総利息は、元利均等返済の標準式に上記の借入額・金利・期間を当てはめた試算値であり、実際の融資条件・審査結果を保証するものではない。保険診療の入金が約2ヶ月後である点は診療報酬の請求・支払サイクルに基づく。当社収支シミュレーターの融資・返済前提と同種の数値を扱う。